ソリューション

医薬品・医療機器業界対応ソリューション

Pharma4.0時代の医薬品品質強化規格逸脱を未然に防ぐ要因分析ソリューション

医薬品の品質安定化は、人命に直結する重要な課題です。

B-EN-Gでは、原因分析を迅速に行うためにAIやDAG(Directed Acyclic Graph)を活用し、お客様の判断を精緻にする要因分析ソリューションをご提供します。

概要

製造工程のモニタリングを精緻にし、品質安定化を図る施策を検討するためにはデータを蓄積し、分析するためのシステム利用が欠かせません。

しかし、近年の調査では、
1)生産管理用ソフトウェアの利用率:49% (バイオビア調べ)
2)医薬品製造データの活用率:30% (Bigfinite調べ)

と業界全体で見るといまだ低水準との報告があります。

医薬品の各工程では、データを活用する主な目的が異なっています。
下図は、原薬工程、製剤工程、包装工程におけるデータ活用目的とデータ活用の方向性を整理したものです。

品質1
【図 製造工程におけるデータ活用の方向性】      

原薬工程や包装工程で目標とする品質を達成したとしても、「患者様へ高品質な医薬品を届ける」ためには、最終的な医薬品の品質を決定づける製剤工程での品質管理が鍵となります。以降では、製剤工程でのデータ活用に焦点を当てた品質管理ソリューションをご紹介します。

下図では、トレンド異常(OOT)と規格逸脱(OOS)の発生過程における工場オペレーションをまとめています。

    品質2
【図 OOT,OOSの予防と是正】

多くの工場では、プロセスデータや品質データが十分に活用されていないため、 異常に気付くまで時間を要したり、原因分析が属人的になりがちです。

リアルタイムモニタリングを整備し、OOTの段階で対処できれば、OOSを未然に防ぎ、発生時のコストやリスクを最小限に抑えることができます。

規格逸脱を未然に防ぐ品質管理ソリューション
活用ケーススタディ

「OOTの検知⇒原因分析⇒予防措置⇒リアルタイムモニタリングとフィードバックループ」という品質管理のワンサイクルの活用例をご紹介します。

①OOTの検知
プロセス中の様々なパラメータ(温度、湿度、圧力など)や、原薬試験や製品試験などの試験値をリアルタイムで監視し、通常の範囲から外れたトレンド異常(OOT)を検知します。今回は、溶出性に関してOOTが検知されたと仮定します。この段階で異常を検知することが、後のOOSを防ぐための第一歩です。

②原因分析
OOTが検知された場合、原因分析を迅速に行うために機械学習を用いてDAG(Directed Acyclic Graph)を学習します。DAGとは、パラメーター間の関係性を表した相関図のようなもので、因果推論で活用されています。

    品質3
【図 商用生産段階のパラメーターの関係性を表したDAG】

商用生産のデータでDAG学習を行うと、研究・開発段階とは異なる関係性が見つかる可能性があります。今回の例示のDAGからは、溶出性に影響を与える可能性がある複数の原因を以下のように読み解くことができます。

pHの変動:原薬のpH値が通常の範囲から外れていたため、溶出性に異常が発生。
混合時間のばらつき:製造プロセス中の混合時間が一定でなかったため、製品の均一性に影響し、溶出性に異常が発生。

③予防措置
読み解いた原因に対して、以下のような予防措置を考案し講じます。
・pH値の管理:原薬のpH値を厳密に管理し、異常が発生した場合には速やかに調整を行う。
・混合プロセスの標準化:混合時間を一定に保つためのプロセス標準化を行い、製品の均一性を確保する。

④リアルタイムモニタリングとフィードバックループ
予防措置が実施された後も、リアルタイムでデータをモニタリングし続け、異常が再発した場合には即座に対応できる仕組みを維持します。フィードバックループを構築することで、継続的なプロセス改善が可能となります。

上記のようなデータ活用の取り組みを継続することで、さらに高度な品質向上やコスト最適化が期待できます。

弊社では、四半世紀以上にわたり製薬メーカーのシステム構築とデータ分析の先進手法の研究を進めており、現場のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

弊社がご支援したお客様の声:
"学術的に当たり前ではない、発見していなかった、新たな関係性が明らかになった"
"人がデータを科学的に解析し、示唆をもとに判断するから、人と組織が動く"

関連ソリューション

DcX支援サービス(データ・セントリック・トランスフォーメーション)
B-EN-Gは、ERPやMES(製造実行管理システム)、LIMS(品質試験管理システム)、IoT等のアプリケーションを連携した各部門のプロセスの見える化だけに留めず、それらから発生するデータを結合し、活用することで全体最適化を図ったり、新しい価値を創出することをDcX(データ・セントリック・トランスフォーメーション)と定義しています。
アプリケーションとデータを繋ぐ統合プラットフォームの構築を支援し、企業のデータドリブン経営の実現を支援しています。