事例

日本貨物航空株式会社様

狙いは高付加価値業務へのシフト RISE with SAP による会計システム再構築事例

日本貨物航空株式会社様

課題

  • 現行会計システム(SAP ECC6.0)のサポート期限切れ
  • 業務のペーパレス化や業務の簡素化・自動化などの経理業務改革ニーズの高まり

導入製品・ソリューション

SAPソリューションのバージョン:RISE with SAP(SAP S/4HANA® Cloud, private edition)
導入モジュール・コンポーネント:FI、TRM、CO(財務会計、財務/資金管理、管理会計)

導入プロジェクトの背景

2009年7月にSAP ERP 6.0をベースに構築された「財務・管理会計システム"i-Account"」は、運航管理システム(i-Sky)、機体整備システム(i-Macs)、航空貨物運送システム(i-Cargo)と合わせ、4大基幹システムの一つとしてグローバルスタンダードな会計システムとして利用されてきた。

しかし、2023年のOSサポート期限および2027年のSAP ERP6.0標準サポート期限を見据え、システムの継続利用や新システムへの刷新など、現行システムの見直しを検討していく必要が出てきた。

また、業務プロセスの電子化・自動化を行うことにより、実務者レベルの業務を削減し、高付加価値業務に向けた検討・推進リソースの捻出を求める改革ニーズも高まっていた。

そこで、NCAでは2020年12月にアップグレード対象として「RISE with SAP」を選択し、会計システム再構築を開始。導入対象は日本だけでなく米国、中国、香港、台湾、タイ、シンガポール、オランダ、イタリアの拠点も含み、2022年4月に本稼働を迎えている。

プロジェクトの目標

目的:経理業務の電子化・自動化・集約化により、効率的な業務運営と高付加価値業務へのシフト

<システム導入による実現目標>

  • ガバナンス強化: 海外拠点も含めたNCAの会計情報を一元管理する
  • 紙文化の脱却: 紙証憑でのやり取りを極力廃止し、経理証憑等のデータや証跡をシステム上で一元管理する
  • 業務効率化: 簡素化・自動化・集約化によって業務を効率化する
  • システムのシンプル化: パッケージ標準機能を活用することにより、アドオン開発を削減する

RISE with SAP選択の理由

  • 標準機能が定期的にバージョンアップされるクラウドERPの採用により、最新の機能の取込むことができる
  • SAP ECC6.0から利用している従来の資産も継続して利用できる

RISE with SAPは、企業がインテリジェントエンタープライズに向けた変革をシンプルに進めるためのSAP製品とサービスを統合した新しい提案で、2021年1月から開始された。そのコアとなるSAP S/4HANA Cloud, private edition は、サブスクリプション型でありながら、プライベート型のクラウドアプリケーションである。年1回バージョンアップの権利があり、自動化およびAIを活用した最新のテクノロジーが付加され続けることにより、ユーザー企業にデジタル変革を促す効果がある。

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NCAでは、これまで業務を円滑に遂行するためにSAP ERP上で開発してきたアドオン機能を再構築時にはスリム化することを方針として掲げていた。しかし、国際貨物航空という特性から、一部は知財として残す価値があると判断し、最新テクノロジーと双方のメリットを両立して経営管理の高度化を狙えることから、RISE with SAPの選択を決定した。

プロジェクトのチャレンジ

  • RISE with SAPの日本初導入
  • コロナ禍での完全リモートプロジェクト推進

「コロナ禍でプロジェクトが始動し、要件定義フェーズから本稼働支援フェーズまでほぼ全てのお打合せをオンラインで実施しました。 1つのPJルームに関係者一同が集まり遂行する従来のプロジェクトとは全く異なる方法で、SAP S/4HANA導入という大型のプロジェクトを無事成功させることができるか、弊社としても大きなチャレンジであったと考えます。」
(IT戦略部 部長 永沼 健資 氏)

プロジェクト目標に対する結果

1. 紙依存からの脱却・業務効率化

  • 紙証憑のスキャニングによる電子化、及び、SAP上での電子承認の実装により、業務効率化と情報の一元管理を実現した
  • 紙印刷が不要となったプルーフリストの枚数(年間試算):27,060枚/年間
  • キャビネットや倉庫で保管していた紙証憑の保管数(年間試算):段ボール36箱/年間
  • 捺印業務の廃止により、在宅業務が可能になった

2. 起票操作性向上による省力化

  • 旧システムから利用していた伝票入力画面の操作性向上により全社的な伝票起票業務負荷を軽減し、取引発生部署での起票を容易にすることで、旧システムで発生していた二重作業を解消した
  • 起票業務の削減時間(年間試算):2,860時間/年間
  • 電子化による伝票作成プロセスの可視化(紙の起票依頼書を廃止し伝票入力から承認までをワークフロー化)を実現した

3. レポート自動化による業務効率化

  • 旧システムでは税務申告等でデータ加工作業が必要だったが、新システムでは旧システムで未使用だったSAP標準機能を利用することで、データ集計作業の軽減を実現した
  • データ集計作業の削減時間(年間試算):40時間/年間 
    ※半期に一度行う業務が対象

4. クラウド構成のメリット享受

  • 新機能が適時更新、リリースされることによる機能拡張性、及び、自社サーバを保有しないことによるインフラ保守管理業務の軽減を実現した
  • システムアップグレードの権利(アップグレード時に新機能の利用を選択できるようになった)

導入パートナーとしてのB-EN-G

B-EN-Gは、現行システムのプライムコントラクターであり、その後の運用保守支援で培った信頼関係に加え、NCA業務への深い知識、プロジェクトマネジメント力、そして最新のSAP S/4HANA Cloudに対しても積極的に取り組んでいるとの評価から、今回もパートナーとして支援を行った。


プロジェクトを終えてB-EN-Gへの感想

「大きなトラブルなく、計画時のコストを超過することもなく、当初のスケジュール通りに稼働できましたのは、B-EN-Gのプロジェクトマネジメント力と弊社システムに対する深い知見の賜物と考えています。」
 「作業場所が離れている分、PJメンバー間のスムーズな情報共有・連携は必須でしたが、会議管理、文書管理からプロジェクトの課題管理、ソフトウェア変更管理に至るまでb-ridgeと呼ばれるWEBツールで一元管理されており、課題の早期認識、共有、そして解決が可能でした。B-EN-G内でSAP S/4 HANA導入メソッドがしっかりと確立されている印象を受けました。また、弊社の旧システム(SAP ERP6.0)導入の経験から、既存の弊社アドオン機能についても熟知しており、S/4 HANA標準機能へ切り替えるかどうかの判断においても、適切なアドバイスをもらえ大変助かりました。」

(IT戦略部 部長 永沼 健資 氏)

「プロジェクトのスタートから稼働開始日まで十分に余裕のある日数ではありませんでしたが、整理すべき課題を明確にしてもらえ、無事稼働を迎えることができました。B-EN-GがNCAの前会計システムをよく理解しおり、大きな障害も無くSAP S/4 HANAへ移行することができたと思います。」

(IT戦略部 業務システムチーム 櫻井 梨穂 氏)

「新システムで初となる2022年4月度の月次決算はゴールデンウィークの最中でしたが、弊社海外支店の決算スケジュールに合わせ、B-EN-G様も特別体制にてサポートしてもらえました。結果的に、大きなトラブルはなく問合せも数えるほどしかありませんでしたが、B-EN-Gが居てくれることで安心して月次決算を迎えることができました。」

(IT戦略部 業務システムチーム 坂上 智子 氏)

※記事内における組織名、役職、数値データなどは取材時のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。