事例

UBE株式会社(旧社名:宇部興産株式会社)様

間接財購買の生産性向上と購買プロセスの変革 クラウド購買管理システム「SAP Ariba」導入事例

UBE株式会社(旧社名:宇部興産株式会社)様

事例紹介動画

UBE株式会社様のSAP Ariba導入の経緯や導入の効果、今後の取り組みなど、4分程度で概要を把握できます。
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課題

  • サプライヤーごとの商流はさまざまで、同じ品でも値段が異なり、比較検討のための時間がかかる
  • さまざまなECサイトをつないだ弊害が発生
  • UBEグループには購買統制が効いていない小規模な会社も存在していた

導入製品・ソリューション

クラウド調達・購買管理システムSAP Ariba

プロジェクトの背景

UBE式会社は、1897年の創業以来、企業の発展と地域の繁栄を一体のものとして創業者が考えた「共存同栄」の精神を受け継ぎつつ、機械、セメント、化学へと事業を拡大し、グローバルな市場で活躍する企業である。この発展を陰で支えてきたのが、購買部門である。「共存同栄」の精神に基づき、地元のサプライヤーとのつながりを絶たずに、間接財の購買改革を長年にわたり実現してきた。その中の一つがネット購買システムの採用による都度見積の削減による購買業務の生産性向上である。

2000年のSAP ERP導入をきっかけに、間接材調達システムを導入してインターネット発注を開始。その後、BtoB向けのECサイトと多数連携しながら、購入できる商材を増やしていった。ところが、商品数が増えると価格をコントロールすることが困難になり、さまざまなECサイトをつないだ弊害も出てきた。

そうしたことから、2000年以降、自ら購買業務改革を進めてきた購買部第一グループ主席の藤本秀夫 氏は、利用していた間接材調達システムの開発元に、商品検索、操作性の向上(サイト間横断検索機能)、ID管理の簡素化などを提言したが、対応が難しいとの回答が返ってきた。他のシステムも検討したが、要求仕様を満足する仕組みと出会えず、また、実現できたとしても導入費用が高額で手が出せない状態であった。

2018年、SAP社主催のセミナー参加をきっかけに、SAP Aribaのプレゼンを受け、望む機能が実現できるとしてSAP Aribaへ調達機能を集約し、業務の合理化と最適化を図ることを決断した。

製品及びB-EN-G選定の理由

  • 購買から支払までシステムの流れを一本化できる
  • サイト間横断検索が可能、ID管理の簡素化、承認のスピードアップを実現
  • 基幹システムSAPとの相性、今後のSAP S/4HANAへのバージョンアップを考慮

SAP Aribaを導入するにあたり、同社は複数企業との比較で、SAP Ariba導入経験値、提案プレゼン時の信頼感、やる気度などを考え併せB-EN-Gをパートナーに選定。また、基幹システムとの連携部分については、グループ会社の株式会社宇部情報システムに業務委託した。

導入プロジェクトの概要

対象品目

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■対象品目は、(1)既存の調達システムで行っていたインターネット発注品と、(2)基幹システム(SAP ERP)と(1)で行っていた地元の販売代理店経由の単価契約品、(3)都度見積で個別発注していた見積品の3種類に設定。合わせてAmazonの法人向けECサイト(Amazon Business)を導入することで、商材を増やし、年間約6万件ある都度見積品の削減を目指した。

小額購買全体をSAP Aribaへ集約することにより、既存システムから機能低下させず、複数システムへのログインの煩わしさからの解放や商品検索性の向上を実現。

「数値的効果については、システム切り替え時間の短縮や商品検索時間の短縮、ネットID申請を主とした管理業務時間の削減などで少なく見積もっても約年間6000時間以上の業務時間の削減が見込まれ、また、購入単価もカタログ品、小額品ともに数%の削減を見込んでいる」と藤本氏は語る。

なお、SAP Aribaには、(2)の地元販売代理店から購入する自社独自のローカルカタログも包含。「共存同栄」ということもあるが、実際、価格の面においてもローカルカタログの品目はほかのネット購買サプライヤーより有利な条件で取引できているためそのまま継続する。

 

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■2000年から取り組んできた間接財購買の業務改革は、ネット購買(グラフ黄色)を増やすことによって、小額都度見積品(グラフ赤色)を減らし、1件づつ見積を取り交渉して発注するという手間を削減するものである。インターネット発注を開始して以来、小額都度見積品の比率は年々減り続け、2002年度に70%を超えていた比率は、2020年には40%を切るようになった。SAP Aribaへの集約で、2022年度には20%以下まで削減できる見込みである。

対象グループ会社

約20社のグループ会社にて利用  (2022年4月分社化の建設資材部門は含まず)

藤本氏は「小規模の会社には、申請、承認といったルールが紙承認や事後の承認などで購買、請求、支払の行為がなされていたケースも見受けられました。そういった会社でもSAP Ariba導入により、購買から請求までのステップに承認ワークフローを取り入れ牽制をかけることができます。今後UBEグループとしてより発展していくために、内部統制上、非常に重要であると考えています。」と述べる。

導入プロジェクトの概要

対象スケジュール

導入そのものは3カ月で完了、2021年上期 自社内の完全移管完了、2021年度内 対象グループ会社の完全移管完了

 2019/12~2020/8 導入検討
 2020/11~2021/3 SAP Ariba導入、SAP Ariba-基幹システム連携開発
 2021/4~6     自社内本番準備
 2021/7~     本番開始(パンチアウト/ローカルカタログ購買)、8~見積購買開始
 2021/10~12    グループ会社展開(約20社)

導入体制

開発担当:(株)宇部情報システム 4名 購買担当:実務担当含む5名(内、管理職2名)

導入運営のポイント

社内合議と予算化

上層部への説得のために「何のために導入するのか、どれだけ効果があるのか、どうやるのか」を明示。
特に購買部門は予算に対して「いくら下げるのか」というのが使命の部署であり、システム導入のための費用を確保しにくいため、 費用対効果の算出を行い、導入範囲、スケジュール、効果を明確に表現。

スケジュール管理と役割分担

購買部門は通常業務と並行してプロジェクト運営のため業務負担が増える。そのため負担が人に偏らないよう「いつだれが何をやる」といったスケジュールの管理を徹底。課題が出たときには迅速に判断。

機能の取捨選択

「現状維持は移管メリット無し」。既存システムの機能を取捨選択し、SAP Aribaの標準機能に業務を合わせる業務改革を実施、社内説明、教育、ヘルプデスクの充実も図る。

業務変革の中でも承認ワークフローの簡素化、承認者の絞り込みに関しては一部批判的な声も上がったという。藤本氏は「業務改革というのは今の仕事のやり方を変えなくてはならないのでやりたくない人がほとんどだと思います。そこを変えていかなければならないのでメリットをよく説明することが必要です」と熱意を持って粘り強く取り組んでいくことの重要性を語る。

導入パートナーとしてのB-EN-G

選定時、複数社の中から選定されたB-EN-G。実際、導入パートナーとしての感想を藤本氏は次のように語る。

「『頼もしい』と思いました。納期管理がきっちりしていますし、こちらからの問いかけに対する回答が速い。また、システム導入の場合、他社では『機能はお客様が選択してください』と言われるケースが多いのに対し、『これはこうしたほうがいいです』と的確なアドバイスをもらえることや、弊社・B-EN-G双方でやることも決まっていて粛々と進められました。B-EN-Gの言うレールにのっていたらSAP Aribaの導入はできたので問題はなかったと思います。方法論が決まっていると感じましたね。誰が何を担当しているかの役割分担も明確で質問しやすかった点も含め、メンバー全員、説明が丁寧だったので理解しやすかったです。全体的には99点ぐらいだと思います。」

期待効果と今後の計画、方針

システム導入前と導入完了した現在では、SAP Aribaへの評価は変わったかという質問に対し、藤本氏は 「シンプルな業務ルールへ移行できることへの期待値は変わりません。また、複数のネット購買利用で工数がかかっていた予算や商品検索がSAP Aribaでは横串ですぐに見ることができること、承認ルートが設定できること、出荷データを受信できることは、購買担当者として期待している部分です。」と答える。

さらに「弊社では、2025年ごろ、基幹システムをSAP S/4HANAに切り替える予定です。それに伴いSAP Aribaの活用範囲を拡げ、また、今、都度見積もりで残している請負工事や高額資材品も含めてSAP Aribaで扱う範囲としたいですね。その先、原材料(直接材)や経費等の取り込みも考えられます。」と、全社支出の要としてSAP Aribaの将来性に期待を寄せている。

※SAP Ariba snap:SAP Aribaの機能を限定し、12週間で導入するプログラム。B-EN-GのSAP Ariba Snapご提供サービスについては特設ページをご覧下さい。

※記事内における組織名、役職、数値データなどは取材時のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。