課題
- 外部環境変化に柔軟に対応できるシステム基盤構築(法制度対応)
- 新会計システムを基軸とした統合経営業務基盤の確立(システム刷新)
- 業務最適化(業務プロセス改革)
導入製品・ソリューション
SAP ERP 6.0、製薬業向けテンプレート「B-EN-Gp」
プロジェクトの背景
「整形外科」「皮膚科」「内科」といった領域を得意とする科研製薬株式会社は、30年以上にわたってホストシステムを運用してきた。しかし、経営環境の変化に伴い、ユーザーの要望が変化する中、システムに関する知識は属人化し、また、ホストコンピューターのプログラム改修でできることには限界があると判断した。さらに当時、適用時期が迫っていたIFRS(国際会計基準)への対応とともに、内部統制の強化も課題であった。
そこで、業務改革テーマに、
- 支払入金業務の一本化
- 受注業務の一本化
を挙げ、会計・購買・販売に関わる業務プロセスを見直し、新システムの導入を通じて、全社で業務の最適化を図る取り組みに着手した。
ソリューションの選定理由
「KAIS(Kaken Accounting Information System)プロジェクト」と名付けられたこの取り組みでは、短期間のシステム導入を目指し、当初からパッケージ製品を採用する方針を立てた。複数のパッケージソリューションが選定対象となり、B-EN-Gの製薬業向けテンプレート「B-EN-Gp」も候補に挙がった。
本テンプレートには、製薬業の特性がすでに標準機能として反映されているため、アドオン開発の工数が抑制でき、導入コストが最小限で済む点を評価し、導入を決定した。
システムの概要
SAP ERPの導入範囲は、一般会計(FI)、管理会計(CO)、在庫・購買管理(MM)、販売管理(SD)であった。
プロジェクト遂行の基本方針では、「SAP機能を最大限に活用する」「全体最適による標準化、コスト削減の追及」「業務を混乱させない安心かつ安全なシステム導入」を掲げ、ユーザー部門の協力のもと、従来、ホストシステムから出力していた帳票をゼロベースから見直し、「あればいい」という内部資料に関しては、情報分析システム(DWH)にERPからデータを渡し、DWHから各担当が出すしくみに変えた。また、ERPとワークフローとの連携も図り、内部統制強化を図っている。
これら、周辺システムの開発は同社が担当し、運用も行っている。
このような開発思想のもと、B-EN-Gpへのアドオンは、ごく一部の機能のみに限り、コスト・スケジュールともに当初の想定通りで本稼働を迎えた。
■KAISプロジェクト範囲

導入パートナーとしてのB-EN-G
プロジェクトがオンスケジュール、低コストで開発を終えたことについて、関本幸男 情報システム部長は、「年度切り替えの2012年4月稼働が絶対条件の中、予定どおりカットオーバーできたことが何よりの成果です。B-EN-Gのコンサルタントは製薬業界へのシステム導入経験が豊富で業務に関する話も通じやすく、コミュニケーションも良好でした」と評価している。
プロジェクト遂行の基本方針では「保守内製化への準備」も掲げている。
SAPの運用も、今後、徐々にB-EN-Gから同社へ引き継いで行く予定である。
導入の効果
B-EN-Gp導入により、JD-NETとのデータやり取りがスムーズになったほか、業務プロセス改革とシステムの相乗効果で、さまざまな面で業務効率の向上とスピードアップが実現している。
- 全国8カ所の支店で行っていた受注業務を本社に一元化、少人数での処理に変更
- 出納管理、売掛金の管理を本社に統合、その結果、財務情報のリアルタイムな把握が可能に
- 帳票をゼロベースから見直した結果、70%を削減
- 販売管理では、集計と分析が翌日レベルから短時間での処理へ
- 医薬品と農薬品の2つで購買の発注フローを一本化し、業務効率が向上。また、買掛情報が月次〆集計からリアルタイムな把握に変化
稼働後1年が経ち、今後は、蓄積されたデータ活用に期待が寄せられている。
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