日本を代表する大手メーカーグループなどを顧客として抱え、モビリティから家電、医療機器、重電、IoTデバイスまで幅広い領域でグローバルにビジネスを展開するエレクトロニクス商社の東和電気株式会社(東京都港区、代表取締役社長:藤峯慎一)は、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の「DX推進のためのデータ利活用アドバイザリーサービス」を採用し、業務の改善・改革やビジネスの意思決定に広くデータを活用するための環境整備に着手した。最終的には企業文化そのものをデータドリブンなものに変革する、本来の意味でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す。
従業員数は連結で約240人と決して大企業ではない同社が進めるのは、コストやリソース面で現実的かつ成果が見込める、地に足のついたDX戦略だ。一連のプロジェクトをけん引するキーパーソンである石井照万・専務取締役管理本部長と櫻井裕也・システム課課長に、取り組みのポイントと背景・経緯、テクノロジーやITベンダーとの付き合い方などについてお話をうかがった。
クラウド活用で想定よりもずっと低コストに
――今回のプロジェクトに着手された背景をお聞かせください。
石井 社内のさまざまなシステムに日々蓄積されるデータを統合的に管理して、必要に応じて必要なデータを取り出して分析・活用できないかという問題意識はずっと持っていました。例えば経営会議の資料は、複数のシステムから必要なデータを集約してスプレッドシートにまとめて作成していましたが、全て手作業でしたので、最新の情報をタイムリーに活用するという点で限界がありましたし担当者の負荷も大きかったわけです。また、近年は営業支援のためのCRM/SFAも導入しているのですが、販売管理など従来の基幹システムにも営業が参考にすべき情報が蓄積されていて、それらをかけ合わせて分析・活用しようとする際も、やはりデータの集約や加工に手間と時間がかかる点がネックでした。
一方で、システムをまたいで統合的なデータ収集・加工・分析ができる仕組みを整備するには、大掛かりなサーバーを用意したり関連のソフトウェアを多額のお金を出して買わなければならなかったりというイメージがありました。大企業でなければ難しい取り組みだと思っていたんですね。
しかし、この課題をB-EN-Gさんに相談したところ、パブリッククラウドを使ってスモールスタートできる仕組みを提案していただきました。
想定よりもずっと安く始められることが分かりましたので、取り組みを開始したという流れです。
 
石井照万氏
――「Microsoft Azure」「Microsoft Power BI」などを活用して、段階的に規模や機能を拡充していくデータ活用基盤を構築しているとうかがいました。具体的にどのような取り組みを進めていくのでしょうか。
櫻井 Azureにデータを集約することを基本として、まずステップ1として、石井が申し上げた経営会議の資料を、「Power BI」のレポートに置き換え、オンデマンドで最新の情報を確認できるようにしました。
石井 目下準備中のステップ2では、経営層、ミドルマネジメント層、現場層のそれぞれにデータ活用を浸透させるために、新規のレポートを開発します。また、当社は素材や部品を仕入れて販売するだけでなく、加工までをトータルで提案するビジネスに力を入れているのですが、お客様ごとのニーズに合わせていかに最適な加工先を選ぶかというナレッジとノウハウは、ベテラン営業パーソンの暗黙知になってしまっています。
ステップ3では、これをデータベース化して形式知に換え、中堅若手社員の力を底上げします。さらにはこのデータベースに顧客満足度の情報を付加してサプライヤーやお客様にも共有し、ビジネスエコシステム全体を活性化していくことも考えています。そして、これらの取り組み過程を通じて、データに基づいた業務や意思決定をする企業文化をつくりあげることが最終的な目標です。
ステップを経るごとにデータ活用基盤を拡充・拡大していくわけですが、その過程でデータ活用がビジネスの成長によりダイレクトにつながる体制ができていくと期待しています。まさにビジネスとともにデータ活用基盤も成長させていくというイメージです。
 
櫻井裕也氏
櫻井 ステップ1でB-EN-Gの協力を得ながらPower BIでの開発やAzureの運用に取り組んだことで自社内にスキルやノウハウが蓄積できてきました。
ステップ3実現までにどのような手順で何を進めるべきか、解像度を上げて考えられるようになり、ロードマップも随時ブラッシュアップしています。
これも石井が申し上げた「成長」の一つだと手応えを感じています。
データこそ会社の最も重要な財産
――最終目標であるデータに基づいた業務や意思決定をする企業文化をつくりあげるというのは、まさに本来の意味でのDXを目指すということですね。
石井 確かにDXを目指すんですが、それは後付けの説明なんです(笑)。
私はずっと経理畑で、同時に社内のシステム整備も管理本部で任されてきました。財務情報と情報システムをずっと見てきた中で、データこそが会社の最も重要な財産であるという結論に至ったんです。お客様、サプライヤーとの関わりや、お金の動きといった情報を分かりやすくまとめて必要な人に届けられれば、会社としての競争力を継続的に向上させられるようになる。それが巷で言うDXにつながっていくんだと気づきました。
――DXの基盤整備におけるパートナーとしてのITベンダーは、どのように選ぶべきでしょうか。
石井 B-EN-Gとは海外全拠点にERPの「mcframe GA」を導入して以来のお付き合いです。B-EN-Gのアドバイスに従って、全拠点の担当者を本社に呼んで方針を説明した上で研修をしたところ、スムーズに導入・運用が進んだという成功体験がありました。
 
今回のプロジェクトでも、提案の段階から当社の経営課題を踏まえてプロジェクトの目的と成功のかたちを共有してくれていましたし、そこに向けて一緒に頭と体を動かしてくれていると感じます。一般論としても、そうした信頼関係を構築できるベンダーがDXのパートナーとして有効なのではないでしょうか。
櫻井 B-EN-Gには今回、東和電気が自社で担うべき部分のスキルトランスファーも含めて、当社にとって何がベストなのかという視点で都度最適解を一緒に考えてもらっているという感覚があります。非常に心強いですね。
事例企業紹介
| 社名 | 東和電気株式会社 | 
| 設立 | 1946年2月 | 
| 本社所在地 | 東京都港区 | 
| 事業内容 | 電気材料、電子材料、化学材料および金属材料の販売、合成樹脂原料、工業用フィルムおよび成形品の販売など | 
| 事業拠点 | 本社他 国内12拠点、海外 シンガポール・中国・ベトナム他14拠点 | 
| 企業Webサイト | https://www.towadenki.co.jp/ | 
※記事内における組織名、役職、数値データなどは取材時のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。
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