事例

コニカミノルタ株式会社様

グローバル経営の高度化を支援 マスタデータ管理(MDM)システム構築事例

コニカミノルタ株式会社様

課題

  • 各国拠点でマスタデータを個別に管理、データの不整合が発生
  • 各国拠点のデータの収集・分析に多くの手間と時間がかかる
  • グローバルカスタマーからの要望が多い「ワンビリング」への対応が困難

導入製品・ソリューション

Informatica MDMによるマスタデータ管理システムの構築

プロジェクトの背景

コニカミノルタ株式会社は、複合機/複写機やプリンタなどの情報機器(事務機器)、印刷用機器やヘルスケア用機器などの主力製品と各種ソリューション・サービスで、全世界で事業を展開している。事業拠点は日本、北米・中南米、欧州・中東、アジア・パシフィックの50カ国に及び、グループ連結売上高のうち海外比率が全体の約80%を占めている。(2016年3月現在)

同社では、近年は熾烈なグローバル競争に勝ち抜く強靭な企業体質の確立を目指し、さまざまなコーポレート変革に取り組んでいる。その重要施策の一つとして掲げているのがグローバルプラットフォーム構築であり、ITインフラやビジネスプロセスを標準化し、かつ、グローバル経営分析基盤を整備しようという試みである。その施策の一環として、同社はマスタデータのグローバル統合・管理のプロジェクトを推し進めている。

同社ではかねてから海外拠点の業務アプリケーションをSAP ERPで標準化する施策を展開してきた。これにより、グローバルレベルでの業務アプリケーションの標準化は進んだものの、「製品(マテリアル)」マスタや「得意先(カスタマー)」マスタといったマスタデータの構造、データ粒度、運用ルールが拠点ごとに異なっていたために、拠点間でのデータの不整合という問題が生じていた。さらに、同社が扱う品目は多岐にわたり、同じ顧客であっても拠点によって(あるいは情報発生源の違いによって)異なるコードで管理されているケースも珍しくない。

そうしたことから、本社が各拠点のデータを収集し、分析をかけようとすると、データクレンジングに多くの手間と労力がかかるのが通常であった。さらに、拠点ごとのマスタデータの"バラツキ"は、グローバルカスタマーから要望の多い"ワンビリング(=請求のグローバルな一本化)"への対応も難しくしていた。

導入プロジェクトの概要

アジア・パシフィックの各拠点の業務アプリケーションをSAP ERPで標準化するプロジェクトが2012年にスタートを切った。それを好機ととらえ、同社はマスタデータのグローバル統合に乗り出した。具体的には、アジア・パシフィック各拠点のSAP ERP導入に連動させるかたちで、同地域のマスタデータ統合を推し進め、それをテコに統合の対象を全世界へと広げていく計画を始動させたのである。

 同社はまず、マスタデータ管理(MDM)の標準ルール/プロセスを策定し、アジア・パシフィック各拠点におけるSAP ERPのコード運用管理プロセス・体制に組み込むことから作業を始めた。
その次に、同社が着手したのがマスタデータのグローバルな統合と管理を効率化する「グローバルMDMシステム」の構築である。それに向けて、システムのベースとなるMDMソフトウェアの選定に乗り出し、結果としてインフォマティカのMDMプラットフォーム「Informatica MDM」を採用した。

ソリューション選定の理由

採用の理由は下記である。

  • 海外では大手グローバル企業に数多く導入されている
  • データ管理に軸足を置くソフトウェアであり、アプリケーションからの独立性が高い
  • 多層構造でのマスタデータ管理が可能
  • 柔軟性・拡張性がある
  • グローバルでのライセンス契約

など

Informatica MDMを導入するにあたり、同社は、日本国内でインフォマティカ製品の豊富な取り扱い実績を持つB-EN-Gに、 システム開発やシステム移行、運用等の支援を要請した。

SAP ERPの移行を済ませたアジア・パシフィックの拠点からグローバルMDMシステムの導入を順次進めた。
構築面ではInformatica MDMの標準機能だけでは実現の難しい複雑なワークフローや画面上のチェックなどの実装や、プロジェクト運営面における、本社と各拠点との意思疎通などの課題にも直面したが、それらを乗り越え、アジア・パシフィックの各拠点に向けたグローバルMDMシステムの導入は2015年10月に稼動している。

導入の効果

同社では、2016年3月段階で、MDM導入の効果として下記を挙げている。

  • 各国拠点のマスタデータの"見える化"と、データ品質向上・維持プロセスの効率化
  • 標準ルール/プロセスに基づくマスタデータ運用・統合管理の実現・効率化
  • 拠点をまたぐデータ活用の容易化で、グローバル経営の情報分析力が向上
  • アプリケーションからの独立性の高いマスタデータ管理(MDM)の実現

同社のMDMシステムの導入は、現在も新規拠点への展開が進行中である。

データの整合性や品質の担保による、経営分析力の強化のみならず、変化に対するシステムの対応力が確保、M&Aによる事業統合のシナジー効果を得る速力も増すとして、その意味で、グローバルMDMシステムには大きな投資対効果を期待している。

※記事内における組織名、役職、数値データなどは取材時のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。