事例

西松建設株式会社様

DX推進のためのデータ利活用基盤(MDMおよびBI環境)構築事例

西松建設株式会社様

課題

  • ICTを活用したDXを推進するためのデータ環境が未整備
  • 各システムが分断されたサイロ状態にありコード体系も異なる
  • 全社標準のハブとなるデータ利活用基盤の構築が不可欠に

導入製品・ソリューション

「Informatica MDM」によるマスタデータ管理
ウイングアーク1st 「Dr.Sum」「MotionBoard」によるBI環境の構築

プロジェクトの背景

さまざまな部門や支社からの要求に応えられるデータ活用の環境づくりが急務

1874年(明治7年)の創業以来、140年を超える長い歴史と伝統を持つ西松建設は、高度な技術力を強みに、道路やダム、公共施設の建設から都市再開発まで、安全・安心な社会基盤整備や快適な環境づくりに広く貢献してきた。
建設業界を取り巻く環境は大きく変化しており、将来的には生産年齢人口の減少や建設投資の削減などの影響も危惧される。こうした社会の変化へ的確に対応して持続的に成長するためには、西松建設自身も新しい時代に適応していく必要がある。

その実現したい未来の姿を描いたのが「西松-Vision2027」である。「新しい価値をつくる総合力企業へ」をビジョンに掲げ、事業領域の拡大と建設事業の進化を目指し、多様化する顧客のニーズに応える技術やサービスを提供していくとする。そして現在(2019年当時)を「総合力企業への基盤構築期」と位置づけ、「中期経営計画 2020」のもとで着実にビジョンを実現するため、さまざまな成長戦略を遂行している過程にある。そこでのICT計画の中核となっているのがデータ活用基盤の整備であった。

各システムが分断されたサイロ状態にあり、コード体系もばらばらであり、これらのデータを収集し、横断的に活用するためには、その都度、個別にプログラムを作成しなければならないなど煩雑な手間と多大な時間を要していた。西松建設はこの課題を解決するため、全社標準のハブとなるデータ活用基盤を構築したいと考えたのである。

導入の経緯

「社員」「取引先」「工事」に関する3種のマスタデータの一元管理へ

社内にはすでに、営業管理、顧客管理、見積管理、施工管理、人事管理など多様なシステムが存在していた。データマネジメントのコンサルティング会社から受けたアドバイスを参考に、西松建設がデータ統合の第1フェーズとして絞り込んだのが、「社員」「取引先」「工事」に関する3種のマスタデータである。これらを柔軟に突合することで、どんな種別の工事にどの協力業者や社員が携わり、どれくらいの収益を上げたのかを分析することが可能になるため、社内の要望が最も高かったのである。

こうしてマスタデータ管理(MDM)の導入に乗り出した西松建設が、数社のソリューションを比較検討し、最終的に選定したのがB-EN-Gの提案によるインフォマティカ「Informatica MDM」である。

また、データ活用基盤を構築するための、MDMだけでなく、データウェアハウスとなるウイングアーク1stの「Dr.Sum」、およびそのフロントとしてデータをダッシュボード上に可視化する「MotionBoard」など、すでに導入していたBIの活用も含めたシステム構築を一括して任せられることが、B-EN-Gをパートナーとして選定する決め手になったという。

データ活用基盤のシステムイメージ
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導入の効果

データ利活用基盤はDXへの取り組みを加速させるエンジンに

西松建設とB-EN-Gがタッグを組んだデータ利活用基盤の構築プロジェクトは2019年10月にスタートし、約4カ月をかけた要件定義を経て2020年2月に設計開発に着手。同年8月からはトライアルを開始し、11月に本番稼働へと漕ぎつけた。

導入の効果としては下記を挙げている。

  • Informatica MDMの名寄せ機能を活用することでマスタデータを一元化
  • 自分の興味があるデータをMotionBoard上で組み合わせを変えながら参照可能に
  • データ利活用に対する社内のモチベーションが大きく向上し、DX推進の機運がアップ

今後の展望

アクセス権限のコントロール厳格化と併せ、データ利活用基盤の利用をさらに拡大へ

本番稼働を開始したとはいえ、現時点でのデータ利活用基盤の公開範囲は、本社の経営企画部や人材戦略部、各事業本部内の企画部門、総務部門といった一部のユーザーにとどまっている。これをより広い部門や支社に広げていくことが、今後に向けた最大の課題である。さまざまなデータ項目に対するアクセス権限を厳格にコントロールする仕組みの導入と併せ、各部門のユーザーへ丁寧な説明を行いながらデータ活用に対するリテラシーを全社的に高めていく必要があるという。

また、データ利活用基盤に統合するデータそのものも、現状の3種のマスタデータだけで十分というわけではなく、社内にある多くの業務システムに格納されているデータも使えるようにしてほしいという要望が高まっている。また本格的なマーケティング分析などを行うためには、社内データだけでなく、さまざまな外部データも活用する必要があるとしている。

今後の西松建設のDX推進のために、B-EN-Gからのさまざまな提案に期待している。

※記事内における組織名、役職、数値データなどは取材時のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。