課題
- 真のグローバル企業としての経営基盤の再構築
- 在庫削減と納期対応力の向上
- 品質管理の精度向上とスピードアップ
- 間接的業務の生産性向上
導入製品・ソリューション
SAP ERP 6.0(FI/CO/SD/MM/PP)
プロジェクトの背景
衛生陶器やシステムトイレなど住宅設備機器の総合メーカーとして知られるTOTO株式会社(以下、TOTO)。2017年に創立100周年を迎えるにあたり、同社は、中長期経営計画「TOTO Vプラン2017」のもとで「真のグローバル企業」としての経営体制の確立を目指し、すべての事業部門を横断した変革の取り組みを進めていた。
とりわけ「ものづくり」を手がける事業部門では、経営判断の迅速化や内部統制の強化、MES(製造実行システム)の有効活用などをテーマに掲げ、最新のテクノロジーを活用した事業基盤の刷新にも大きな力を注いでいる。
ソリューションの選定理由
B-EN-Gからの提案を採用した理由として、TOTOはSAP ERPの標準機能を最大限に活用しながら、それ以外の個別サービスは外部に展開する極めてシンプルな設計を挙げている。この「適材適所」の機能配置によって基幹システムの運用効率を飛躍的に向上させ、これまでに顕在化した課題の多くを解決できると考えたのだ。
導入プロジェクトの概要
プロジェクトがスタートしたのは、2014年9月。まず、重点領域の「衛陶生産本部」「ウォシュレット生産本部」「機器水栓事業部」の3つの"ものづくり部門"を対象に、それぞれ2カ月、計6カ月間にわたるプロトタイピングを実施した。
ここでは、B-EN-G独自のSAP導入の方法論「TOPPLAN-SAP」が用いられた。
プロトタイピングの後、2015年4月からは最初の導入対象となった衛陶生産本部の構想策定に着手。要件定義、開発(周辺機能の開発も含む)、実装を経て、2017年5月に無事にカットオーバーした。
導入のポイント
プロジェクトのポイントとして見逃せないのが、SAP ERP 6.0へのカスタマイズをあくまで最小限にとどめている点だ。これは「標準機能の活用を徹底し、周辺の機能やサービスをすべてERPの外側に配置する」という当初の方針に基づくものだが、TOTOがこの方針を徹底した背景には、SAP ERPの導入を機に旧来の業務プロセスの抜本的な見直し=業務改革を実現させるという明確な狙いがあった。
この業務改革の視点は、構想策定や要件定義のフェーズでも一貫して適用され、これまでの業務プロセスで見直すべき点や、SAP ERPの付加価値をいかに高めていくかという視点でそれぞれの判断を下すことができたという。
また、SAP ERPをステップボードとした「自分たちが主体的に業務改革を推進していくための仕組みづくり」もテーマの一つに掲げた。そのために同社では、システム活用に必要な知識やスキルのトランスファーはもちろん、自社のビジネスそのものに踏み込んだ具体的な改善策の検討を重ねていった。
導入後は自社内でシステムの管理・運用を行い、将来的に他のベンダーが引き継ぐ可能性まで考慮した運用計画を策定した。
導入パートナーとしてのB-EN-G
TOTOの今回のユーザー主導による導入プロジェクトを支えたのが、マルチベンダーとしてのB-EN-Gの経験や実績だ。プロジェクトで衛陶生産本部が目指す業務のシンプル化や標準化、さらには迅速な意思決定に関するベストプラクティスをトータルに提案できた背景には、SAPをはじめとする多様なソリューションの導入実績があった。
導入の効果
SAP ERPの導入に際してTOTOの衛陶生産本部が掲げたのは、「在庫削減と納期対応力の向上」、「品質管理の精度向上とスピードアップ」、そして「間接的業務の生産性向上」という3つの目標だった。今回採用された5つのモジュール(FI:財務会計/CO:管理会計/SD:販売管理/MM:在庫購買管理/PP:生産計画・管理)は、いずれも目標の達成に不可欠なものだ。同本部では、これらの活用の前提となる"考え方"を学ぶ上で、B-EN-Gのコンサルティングを大いに活用したという。 これまでのプロジェクトの経過を総括して、TOTOにもたらされた最も価値ある成果は、SAP ERP導入を契機に自らの仕事のあり方を大局的な視点で見直し、効率化や省コスト化、生産性向上といった目標に向けて、社員一人ひとりが主体的に取り組むための糸口をつけられた点にあるという。
新たな基幹システムの稼働から約8カ月が経過した現在、衛陶生産本部ではSAP ERPの導入がもたらした改善効果についての分析を進めている。
※本記事は2018年1月現在の内容です。記事内における組織名、役職、数値データなどは取材時のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。
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